組織図は多くの会社が持っています。でも、「実際の意思決定がどう流れているか」を図にしている会社は、思いのほか少ない。公式の組織図と実態が違うことが、多くの「なぜ決まらないのか」問題の根本にあります。この記事では、Vault42 Zoneが実際のプロジェクトで使っている構造マッピングの手順を、順を追って説明します。
組織図と構造図の違い ¶
組織図は「誰が誰の上にいるか」を示すものです。構造図は「情報がどこを通り、誰が何を決めるか」を示すものです。この二つは、多くの会社で大きくずれています。たとえば、組織図では部長が承認者になっているのに、実際には特定の課長が事前に根回しをしないと何も動かない、という状態はよくあります。構造図を作る目的は、この「実態」を紙の上に出すことです。
ヒアリングの進め方 ¶
構造図を作るためのヒアリングは、会議室だけで行いません。できれば現場で、担当者が実際に仕事をしている場所で話を聞きます。質問は「誰に承認をもらいますか?」ではなく「先週、何かを決めるときに、誰に連絡しましたか?」という形にします。前者は建前を引き出し、後者は実態を引き出します。ヒアリングの対象は、役職に関係なく、実際に情報の流れに関わっている人を選びます。
A3一枚にまとめる理由 ¶
構造図はA3一枚に収めることを原則にしています。収まらない場合は、整理が足りないか、一度に解こうとしている問題が多すぎるかのどちらかです。A3一枚にすることで、会議室のテーブルに広げて全員で見ることができます。「ここが詰まっている」という指摘が、図を見ながら自然に出てくるようになります。PowerPointのスライドより、手で書いた図の方が議論が活発になることが多い。
よくある構造の問題パターン ¶
現場でよく見るパターンは三つあります。一つ目は「承認者の不在」。決定権を持つ人が、物理的または時間的に不在になりがちな状態です。二つ目は「情報の迂回」。公式ルートを通らずに情報が流れており、公式ルートが形骸化している状態です。三つ目は「決定権の重複」。同じ案件に対して複数の部門が承認権を持っており、どちらが最終決定者か不明確な状態です。
構造図を作った後にすること ¶
構造図は作って終わりではありません。図を関係者全員に見せて、「この図は実態と合っていますか?」と確認することが次のステップです。この確認の場で、初めて「実はここが問題だと思っていた」という声が出てくることがあります。構造図は、議論を始めるための道具です。答えを出すための道具ではありません。
組織構造図の作成に使えるA3ワークシートを、Vault42 Zoneのツール・テンプレートページで無料公開しています。まず手を動かしてみることが、一番の近道です。